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木偶人形の酒類と味方
木偶人形の要点は頭です。手足や衣装は頭に合わせたものなのです。人形頭は本来静止した状態で鑑賞するものではなく、上演の姿を見るものです。上演ともなれば、頭は役柄や性格を明確に示す必要があります。そのために頭の表情は、どうしても大げさで極端になってきます。この点に着目して、人形頭の見方の基本を説明します。
 
Point1 時代物と世話物に分かれる浄瑠璃
浄瑠璃には時代物(江戸時代の主として武家社会を題材にしたもの)と世話物(江戸時代の主として町人社会を題材にしたもの)があります。このうち多くは時代物のため、頭も時代物一曲が上演できるように造られています。ただし時代物の頭の中には世話物として使えるものもあります。それは時代物の中にも世話物的人物が登場するからです。
 
Point2 丸目頭敵方役の頭は丸目
敵役方の頭には、どことなく憎々しい表情が漂い、非情な強さも浮かべています。憎々しさのポイントは目。丸目と呼ばれて目尻が丸くの形になっています。これは女形頭も同じです。強さをあらわすために、顔を赤く塗り、いろいろな仕掛けをつくります。「近江源氏先陣館」の和田兵衛、「安達原」の宗任などです。身分のある敵役は、「時平」のように白く塗り、灰色の勢と隈取りをいれます。これを白悪または公卿悪と言います。
 
Point3 角目頭立役方の主人公は角目(かどめ)
立役方の頭では、主人公の目は角目と呼ばれ目尻がとがっています。上まぶたが一直線で、下まぶたは卵を半分に切ったの形をしています。また眉の上下・横目・眠り目・口の開閉などいろいろな動きができる、文楽でいう「文七頭」のことです。
彩色においては、強さを強調し、聡明さをあらわすものは白く塗ります。これは検非違子(けびいし)がなまり剣別師(けんべつし)と呼ばれています。
立役方でも強さを強調する人形頭は、丸目と同じように赤く塗られますが、これも角目の頭と言います。「一谷」の熊谷直実、「玉藻前」の金藤次などです。なお、少し若造りで口の動く頭を別師といい、よく使われます。
 
Point4 老人は寄年、青年は若男
男の頭の老人を寄年(よりと)と呼びます。表情はやわらかで、少々滑稽味を感じさせるものもあります。寄年の中には役名を頭の名に付けていることもあります。平作の頭、白太夫の頭、合邦の頭などです。
青年の頭は若男と呼びます。すべて白塗りで、目は丸目でも角目でもなく、の形の目をかきます(女形も同じ)。ただし純二枚目の色事に使う頭は目尻を水平にやさしくかき、口も眉も動きません。時代物の若男で、戦場に出たり、自害したり、若侍ながら武士道一本に生死をかける青年は、目尻を少し上げ、眉や口も動くようにして、強さと悲壮感を表します。
眉・目・口の3つが動く頭を三曲といいます。もともと人形師は、からくりのことを曲(きょく)、または、曲(わざ)と呼んでいたからです。
 
Point5 女形は既婚・未婚で区別
女の頭を女形(おやま)と呼び、既婚・未婚で区別します。中年までは老女形、老年は婆です。未婚の頭は娘で、幼い可憐な小娘と娘の区別があります。どれも目・口の動くものもありますが、本来女形は目が動くくらいで、男頭ほど深刻な表情はとりません。
平常は美しい娘でありながら「山姥」と呼ばれる恐ろしい頭があります。急に口が耳まで裂け、金色の歯が光り、目玉がひっくり返って金目となり、髪の中から二本角を出す凄い頭です。これを文楽では「がぶ」といい、同様の仕掛けでも、角の出ないものは累(かさね)と呼ばれています。
女房頭・婆頭・娘頭・一役頭
 
Point6 つめ頭端役は、つめ頭
端役の頭には、滑稽役に茶利(チャリ)があります。一部には鼻動きもありますが、端役の頭には鼻や首なども動かない雑なものがあります。頭と首根は一本の木で造られた猪首式です。使い手も一人で「つめ頭」と呼ばれます。
 
Point7 子供頭子供頭は場面によっては主役をしのぐ
最も愛らしい役を演じるのが子供頭です。人形の相貌に男女の区別は少なく、鬘や衣装によって区別します。準主役でありながら涙をさそう場面などでは主役をしのぐ役柄となる頭です。
 
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